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サバイサバーイ

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佐藤 圭司 Keiji Sato 写真集
サバイサバーイ

サイズ     W279mm x H210mm
ページ数    144P
製本方法    ソフトカバー
制作      TokyoLightroom
デザイン    小松 透
印刷・製本   株式会社イニュニック
ISBN      978-4-905360-33-9 C0072
エディション  80部

成田空港の入国税関職員が僕に聞いた。「お仕事ですか?」「いいえ、観光です」僕のパスポートにはタイ王国への入国スタンプと出国スタンプがそれぞれ20個弱押されていた。この数年間、年に何度もタイ王国へ足を運んでいる記念碑だ。
初めての訪泰のきっかけはあるブログだった。日本から逃げるようにしてタイで沈没し、現地の風俗嬢と同棲をしている男の話だった。その男が見ている景色が見たくなった。その男が吸っている空気が吸いたくなった。その景色を撮りたくなった。
かくして僕はスワンナプーム空港に降り立った。僕にはブログの話し以外にタイの知識は何もなかった。ガイドブックを頼りに、しかしガイドブックに載っている観光地には目もくれずある場所を目指した。それはバンコクの中心地スクンビットから少し外れたプラカノンだ。ブログの筆者が風俗嬢と同棲をしていた場所だ。僕はBTS(市内を走る高架鉄道)に乗ってプラカノンの改札を出た。こうしてバンコクでの撮影が始まった。
僕の気分はサバイサバーイだ。サバーイは「気持ちいい」「心地よい」「快適」などの意味を持っている。僕は撮影の合間にフットマッサージを受けるのだが、マッサージ師に「サバーイ」と言うと「サバイサバーイでしょ」と言い直された。「サバイサバーイ」で一つの言葉になっているようだ。
昼の撮影、夜の撮影を終えて日付が変わった頃、僕はバービアのカウンターに座る。そして店のママにシンハーをオーダーする。ママは何だかんだと話し掛けてくる。僕はこの夜の街を眺めながらただ静かに飲みたいだけなのにそれを許してもらえない。シンハーのボトルが空になったのを合図に、100B札をママに渡し店を出る。セブン(コンビニはセブンイレブンもファミマもセブンと呼ばれる)に寄ってシンハーの缶を買ってホテルに戻る。今度こそシンハーを静かに飲みながらFacebookに書き込みをする。時計は午前2時を回った。日本時間では午前4時、新聞配達が朝刊を配り始めている頃だろう。一日が終わり僕はベッドに入り目を閉じた。サバイサバーイ。

プロフィール
佐藤 圭司 Keiji Sato
千葉県出身。写真家。夜の写真学校 第4期修了。
RED Photo Gallery の設立、運営に参加。メンバー。
2001年より各所にて40回以上の個展を開催。
HP: https://kbox.jp

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